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院長ブログ

中秋の名月と目の関係

昨晩は中秋の名月。まんまるの月が綺麗に晴れ渡った夜空にぽっかりと浮かんでいました。月の満ち欠けと暦の関係で、中秋の名月が毎年まんまるになるとは限らないそうで、今度満月になるのは8年後、決まったばかりの東京オリンピック開催の次の年だそうです。

さて、本日の診察で「昨日の月がダブって見えた」というご相談を患者様よりいただきました。実はこれ、日々の診察でもよくご相談をうけることなのです。満月に限らず、三日月や半月でも「きれいに見えない」「もうひとつ重なって見える」などというご相談を多くうけます。

月は、ご存知の通り空の上、はるかかなたにあります。理論上は38万キロの距離ですが、身の回りにある物の距離に比べれば、ほぼ「無限遠」です。それほど遠い距離にあるものをはっきりくっきり見るためには、かなり高精度な目が必要になります。

例えば、皆さんが写真で見る月はカメラで撮影しています。日本製の精度の高いカメラのレンズの焦点を「無限遠」(マークでは∞ オートフォーカスでもそうなります)に合わせて写真を撮ることで、初めて月はぼやけずにはっきり写るのです。

人間の生体は工業製品ではありませんので、歪みはつきものです。どんなに目の良い人でも、多少の近視、遠視、乱視がある場合がほとんどで、その焦点ずれのファジー(この言葉、もはや死語でしょうか)な部分を実生活では脳で補正しています。ところが「黒い背景の上の光る物体」はその補正が効きにくい。そのため、月や星が裸眼でくっきり1つに見える人は実はごく少数なのです。

私も、右目がかなりの乱視なので、片目ずつで見ると右目では満月が二重に見えます。でも、「きれいだなぁ。虫の声も、秋の風情だなぁ」と、二重の満月も「日本人の心」をもってすれば補正可能で、美しく月を見ることができました。そこにお酒でも入ろうものなら、目が原因なのか酔っているのかも分からなくなるというものです。

8年後までは毎年若干欠けている中秋の名月、それも心で補正して、満月として楽しもうではありませんか。

補足:片目で見ると1つなのに、両目で見たら月が2つに見える場合だけは、目の動きが悪くなる病気の可能性があります。その場合は受診が必要です。