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院長ブログ

ブルーライトカット・メガネって効果あるの?

街の灯りが、とても綺麗ねヨコハマ、ブルーライト・ヨコハマ~♪

というわけで、ブルーライトといえばヨコハマ?ですから、横浜市にある当院のブログでこの話題に言及しないわけにはいきません。

現在、メガネ業界を席巻しておりますブルーライトカット・メガネですが、ブルーライトってそもそも何?果たして本当に効果はあるの?という疑問に、私なりにお答えします。

<「ブルーライト」とは>
文字通り、青い光です。光の波長が短い「紫外線」や長い波長の「赤外線」は目では見えませんが、目で見える波長の「可視光線」の中で、もっとも紫外線に近い青い色をしている光のことをあえて「ブルーライト」と呼んでいます。可視光線の中でも光のエネルギーが強いといわれています。

近年問題になっているのは、照明や、パソコン、スマホのディスプレイに、明るくて省エネのLEDが使われるようになってきたから。LEDからは従来のブラウン管や白熱灯、蛍光灯と比べ強いブルーライトが出ているそうです。

紫外線はお肌や目に有害というのは良く知られたことですが、それに近いブルーライトも目に悪いのでは?ということで取りざたされるようになったというわけです。

<ブルーライトが目に与える影響>
どんな影響が考えられるかというと、次の3つにまとめられます。

①まぶしい、ちらつく?:従来より明るいので、画面の調整が不十分だと起こりえます。疲れの原因になるかもしれません。

②目の内部の組織に影響あり?:強い紫外線では白内障を起こすことが知られています。同様に、目の奥まで到達しやすいエネルギーの強いブルーライトが内部の網膜に過度に当たると、黄斑変性症などの病気を引き起こす可能性が危惧されています。

③睡眠のリズムにも影響?:ブルーライトを浴びることで脳内分泌ホルモンのひとつ、メラトニンの生成が抑制されるそうです。メラトニンは眠りを誘う効果があり、それが抑制されることで寝つきが悪くなる可能性が指摘されています。(朝日を浴びることで寝覚めが良くなるのは、この逆の効果で、朝日に含まれるブルーライトが効果を高めていると言われています)

いずれもまだ研究段階のため、ブルーライトをカットすることがどこまで有効かの科学的な根拠には乏しい段階です。これらの影響の可能性を、ある有名私大の眼科教授が提唱して、提携したメガネ屋さんが大々的に宣伝したので世に知られるようになった、というのがこれまでの経緯です。

<ブルーライトカット・メガネは使うべきか?>
ブルーライトの問題は、従来から行われている紫外線対策と似ているように思います。紫外線は明らかにお肌や目に悪いことは知られていますので、気になる方は日焼け止めや日傘やサングラスを使いますが、それも1年中使う方もいれば、夏の日差しの強い時だけ使う方もいる。ではなぜそのように医学界が紫外線対策を個人任せにしているのでしょうか?もう少し科学的根拠をもとに説明すると、紫外線で受けたダメージ(例えば遺伝子が傷つくなど)を修復をする能力が人間の体には備わっていますので、ある程度の紫外線は許容範囲なわけです。ところがその「ある程度」が余りにも個人差がありすぎて、紫外線が体に悪いか?という問いには「一概には言えません」となるわけです。これは放射線でも同じことが言えますので、「どのくらい浴びたらがんになる」と断言できないのはそんな理由からです。したがってブルーライトも同様といえます。

実際に使っておられる患者様にうかがうと「使い始めて楽になった」とおっしゃる方もおられます。つまり、ブルーライトカット・メガネは万人に絶対必要なものではありませんが、気になる方は使うといいでしょうし、使ってみて効果を感じるなら使う意義があるというのが、私個人の見解です。

ちなみに私は毎日電子カルテ(パソコン)の前に座っておりますが、普段はブルーライトカット・メガネは使っておりません。それは単に、診察の際にのぞく顕微鏡に当たってわずらわしいから。今はディスプレイの「色温度調整」やブルーライトカット用のアプリもあるので、メガネを使わなくても対応可能な場合もあるのだそうです。

雑誌の調査では、他に先んじて大々的に売り出したメガネ屋さんのメガネは、他のメーカーのものよりブルーライトのカット率が悪い、などという報告もあります(モノダス2014 「パソコンメガネ3大メーカー徹底テスト」より)。これだけ世の中に普及してきたものですから、明確な規格を設けて製造することを、メーカーにはお願いしたいところです。

また、疲れ目の原因がメガネやコンタクトレンズの調整不足や、ドライアイによる症状の場合も多く見受けられますので、メガネを購入する前に眼科に受診して、確認する事もどうぞお忘れなく。

(このブログは、1月9日に私が出演したFMとつか「おはよう、咲くラジオ」の「目は口ほどにものをいい」でお話した内容に、若干補足したものです)