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東戸塚 眼科 片桐眼科クリニック|東戸塚駅 西口より徒歩1分 モレラ東戸塚3階

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院長ブログ

ITだのDXだの…

世の中、デジタル化の波が止まりません。それは医療も同様です。

私が医師になったころ、診療した患者様の内容を記載するカルテも、それを請求するレセプトもすべてが紙でした。そのため、大きな病院では保管場所の確保が大変で、カルテを運ぶのは人の手だったり、あるいは行先(○○外来、〇階病棟など)を指定するとそこに運んでくれるコンテナのようなものが稼働していたり…そして誤配もたびたびありました。毎月レセプト提出時期の月初になると、前月診察した何千人ぶんもの分厚いレセプト用紙を一枚一枚不備がないか一晩~数日かけてチェックして、紐でくくってまとめたものを期日に間に合うように郵送していました。

当院は開院するにあたって、電子カルテを導入しました。カルテの内容はすべてパソコンに入力保存され、必要な台数用意すれば、どこでも見られて保管場所もとらない、画期的な進歩でした。検査で撮影する写真も、以前はポラロイドで「ビャーッ」と出てきたものがはっきりしてくるのを待つか、フィルムに撮って現像に出して数日後に出来上がる、といった感じでしたが、電子カルテではデジタルカメラで撮ったその場で確認、保存ができます。

そしてレセプトも時を経て、パソコンからオンラインでの提出になり、一晩~数日かかったチェックも、ものの10分程度でできるようになりました。

また、大きな変化の一つに自動精算機があります。それまではお金のやり取りはスタッフがレジを打って現金をいただき、おつりを計算してお渡しする、だったのですが、人間のすることですから、どうしても誤りによるお金のズレが月に1~数件出てしまって、関わった人は気まずい思いをしていました。自動精算機を導入してからは、それが嘘のようになくなりました。

待ち人数の確認や、診療予約、公式LINEでの情報確認やYouTubeの視聴もすべて手元のスマホで当たり前のようにできてしまいます。

最近では半分くらいの患者様が、保険証ではなくマイナンバーカードで登録されるようになりました。当院ではスマホ保険証にも対応していますが、まだ利用される方は少ないようです。

正確で、効率もよく、世の中の進歩に貢献しているデジタル化ですが、もちろん問題もあります。

まず、費用が高額なこと。当院も開院して15年以上経ち、電子カルテも買い替えが必要になっていますが、それにはシステム全体で何百万~1000万もの費用がかかります。他のデジタル機器も昨今のインフレや原材料費の高騰などの影響で、開院当時の1.5倍~2倍の値段。政府の意向で導入されたマイナンバーやスマホ保険証の対応機器も、補助はほんのわずかなためほとんどがクリニックの自己負担です。(もっとも今や小中学生でも1台10万円もするスマホを当たり前に持つ時代…昭和の金銭感覚の私には本当に驚きです)

そして最大のデメリットは、電気がないと動かないこと。もう忘れ去られようとしていますが、東日本大震災のときの停電(幸い当院は停電はなかったものの、自宅は計画停電の影響がありました)を考えると、再びそのような災害がないとも限りません。その時には、私に診察する知識や経験があっても、カルテも書けない、薬も出せない、お会計もできない…という事態に陥ります。災害時こそ稼働しなければならない医療が甚大な影響を受ける、ということも常に意識しておかなければならないでしょう。

最近はさらに生成AIの出現で、世の中は様変わりしようとしています。私も調べ物や語学の勉強に良く使い、重宝しています。AIが人間を越える、いわゆる「シンギュラリティ」はかつては2040年代に起きると予測されていましたが、今の生成AIの能力を見るにつけ、私はもう「とっくに起きている」と思っています。

それが人間にとって便利な世の中になればいいですが、あくまでも「共存共栄」で、「支配」はされないようにしないといけない、と思う今日この頃です。