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院長ブログ

タバコと目の健康

最近、いわゆる「おやじ臭い」人が少なくなったように感じます。昔は街を歩いていても電車の中でも、そこかしこに「大人の男」を感じるにおいを漂わせる人が必ずいたものです。

それは整髪料のにおいだったり、汗のにおいだったりがない交ぜになって…。でもおそらく最も「おやじ臭さ」に寄与していたのが「タバコ」だったように思います。

タバコは大人の象徴でもありました。私も若い頃、粋がって?1年だけ吸っていたことがあります。今では信じられませんが、かつては電車や飛行機の中はもちろん、病院の待合室でもタバコが吸えました(→過去のブログ)。今では歩きたばこも禁止されていて、喫煙所や喫煙スペースで細々と、あるいはマンションのベランダでこっそりと(ホタル族なんて呼ばれてましたね)吸える程度となりました。

世の中が変わった恩恵は、犬の散歩でも分かります。街に以前ほど吸い殻が落ちていないのです。我が家のワンコは小さい頃、落ちている紙類をすぐに食べてしまう癖がありました。そのため、お散歩中にタバコの吸い殻を食べてしまうのを最も懸念していたのですが、幸い吸い殻が落ちていることがほとんどなく、そして成長するにつれて紙の食べ癖もなくなりました。

先日、誰かがゴミ箱に捨てていったタバコの空き箱があり、それを見てびっくりしました。箱の注意書きです。箱のかなりの面積に、いわく「たばこの煙は、あなただけでなく、周りの人が肺がん、心筋梗塞など虚血性心疾患、脳卒中になる危険性も高めます」「lightの表現は、健康への悪影響が他製品より小さいことを意味するものではありません」と強烈なメッセージが!

かつてタバコのパッケージは、その色やデザインが憧れでもあり、そのカラーリングはF1のレースカーにも反映されていたことを考えると、時代は本当に変わったな、と実感します。調べてみると他にも「望まない受動喫煙が生じないよう、屋外や家庭でも周囲の状況に配慮することが、健康増進法上、義務付けられています」「たばこの煙は、子供の健康にも悪影響を及ぼします。たばこの誤飲を防ぐため、乳幼児の手が届かない所に保管・廃棄を」「妊娠中の喫煙は、胎児の発育不全のほか、早産や出生体重の減少、乳幼児突然死症候群の危険性を高めます」などなどの表示が…。海外では、喫煙により肺がんになった肺の写真まで掲載する国もあるようです。

さて、ではタバコは目に悪いのか?結論は間違いなく「悪い!」です。

タバコに含まれるニコチンは、血管を収縮させる作用があります。目の血管はほとんどが毛細血管ですが、酸素や栄養など、目の健康を維持するために大切な成分を運んでいます。その毛細血管がニコチンの影響で収縮するとどうなるか…必要なものが届かなくなり、正常な機能を保てなくなります。

特に緑内障は、目の奥にある視神経の血流が関係していると言われます。血流が悪くなると、神経がダメージを受け、その部分が見えなくなる「視野欠損」を起こします。それが進行すると失明にいたり、手術をしても治らない、取り返しのつかないことになってしまいます。最近の論文でも、ヘビースモーカー(論文では「年間20箱以上」という条件なので、決してヘビーではないと思うのですが)は非喫煙者に比べ、緑内障の視野障害の進行度が2.3倍という結果が出ています。

診察室は常に換気扇と空気清浄機が作動していて空気がきれいですので、タバコのにおいがすると(タバコを吸っている人が入ってくると)すぐに分かります。 それだけでなく、患者さんの胸ポケットにさりげなくタバコの箱が入っていたりする場合もあります。その方が緑内障の治療を受けている方だったときには…やさしく、そして強く禁煙をお勧めしています。

そして受動喫煙以外にも、タバコが他人の目に悪影響を及ぼすことがあります。それは、大人が持ったタバコの高さが、子供の目線と同じになることで起こります。火が付いたタバコの先は高温で、それが不注意で子供の目に入ると、やけどと同じように目の表面がただれ、運が悪いと透明な角膜が濁ったままになって、視力が回復しなくなってしまいます。

タバコの目に対する影響は、こちらの当院公式YouTubeチャンネル「タバコは目に悪い」(→クリックでリンク)でも説明しておりますので、是非ご覧ください。広告は流れません。

自分の健康にも、他人の健康にも良くない喫煙の習慣。これを機会に、禁煙を考えてみてはいかがですか?