先日、製薬会社の担当者さんから新しく発売される目薬のサンプルをいただきました。
新薬が発売されるときは、その製薬会社の担当者さん（専門用語でMR：Medical Representatives 我々はエムアールさんといいます）が薬の実物をお持ちになり、効能や特徴について説明してくれます。
私は、いただいた新薬のサンプルは全て自分でつけてみるようにしています。自分がつけることで、その薬の特徴が分かるからです。薬の効果は検査や診察で分かりますが、その他の特徴、例えばどのくらい「しみる」のか、味はするか（目薬は涙の通り道を通って鼻の奥からのどに流れてくるので、その時に味を感じることがあります）、見え方に影響するか、充血しないか、あるいは他の気になることはないかなど、事前にMRさんから副作用などの説明はありますが、やはり自分で使ってみるのが一番分かります。
さて、その日の午後の診療で、なんととなくボーっとして軽い頭痛がするようになりました。「あれ？最近の睡眠不足がたたったかな？」と思ったのですが、いやちょっと待てよ、新薬の目薬をさしたのはお昼休みだった、もしかして…と調べてみると、やはり副作用の項目に「頭痛」があり、早速問い合わせてみると、数は少ないながらそのような事例があるとのことでした。そしてその症状も1時間ほどで回復しました。
これまで自分で使ってみた薬では、翌日まで充血が残ってしまうもの、さした後しばらくかすんで味がとても苦いものなどが印象に残っていますが、この薬についても、今回の自分の実感をもって、患者様にどのような目薬か説明することができます。
昨今では分業制で、薬については薬剤師さんに詳しい説明などをお任せする風潮が強いですが、あらゆる分野のお薬を扱う薬剤師さんは、さすがにすべて自分で試すわけにはいかないでしょうから、せめて自分が処方するお薬については、説明責任を果たすために、今後も必ず自分で試そうと再確認した、今回のエピソードでした。
