電話をかける

045-392-5263

東戸塚 眼科 片桐眼科クリニック|東戸塚駅 西口より徒歩1分 モレラ東戸塚3階

TEL.045-392-5263

院長ブログ

涙の不思議

みなさん、最近泣きましたか?

私は最近、年を取ったのか涙もろくなり、ちょっとしたことでも感極まって涙ぐんでしまうことがよくあります。

先日は映画(DVD)を見ていて、涙腺崩壊してしまいました。

その映画は「天国と地獄」。巨匠、黒澤明監督の傑作サスペンスです。

私は黒澤明監督作品の大ファンですが、この作品は全編緊張感にあふれ、現代劇の中では一番好きな作品です。三船敏郎、仲代達矢を初めとする黒澤映画の豪華オールスターキャスト、身代わりの人質という設定、身代金の受け渡しトリック、意外な犯人と解決の手口など、その魅力は言葉に尽くせません。この映画の公開後模倣犯が発生し、刑法が改正され、誘拐犯罪の刑罰が重くなったといういわくつきです。

特に横浜から湘南にかけて、神奈川県民にはおなじみの場所が次々に舞台として登場します。伊勢佐木町、黄金町、山下公園、鎌倉高校前、腰越、江ノ島、酒匂川などなど…後半に登場する病院は、かつて野毛にあった、横浜市大病院の前身の十全病院だったのではと推察します。

そして今では考えられないような当時(1963年製作)の文化や風俗がよくわかります。例えば、警察でも病院でも街中でも、みんなタバコを吸いまくりです(笑)。

特に衝撃的なのは、当時の黄金町の風景です。これ以上はネタバレになってしまいますので書きませんが、私は高校生の頃この映画を観て衝撃を受け、映画の舞台になった現場を見てみたくて、わざわざ学生服のまま横浜~江ノ島まで出かけました。その途中で立ち寄った黄金町の街を恐る恐る歩いてみると、その頃はまだ残っていたいわゆる「ちょんの間」の妖艶なお姉さんに、昼の日中から声をかけられ、慌てて逃げ帰った苦い思い出があります。

そんなサスペンス映画のどこで号泣したのかというと、主人公とその妻が、身代わりになった子供の親を挟んで、身代金を出すかどうかをやり合う場面。他人の子であろうと子供を思う親の気持ちと、身代金を出せない深い理由のある経営者としての主人公の葛藤。これまで何度も見ていますが、今までこの場面ではこんなに泣いたことなかったのに…

久しぶりに今回見直してこんなに泣いたのは、実際に自分が子育てを経験して、子供に対する親の愛情が理解できるようになったのと、曲がりなりにもクリニックの経営者として今回のコロナ禍も経験し、主人公の経営者としてのつらい立場もより実感できるようになったからでしょうか。

それにしても涙って不思議だと思いませんか?悲しくても、嬉しくても、辛くても、大笑いしても出てきますね。その涙の不思議については、こちらのYouTube動画で解説しています。

「悲しくてもうれしくても涙が出るのはなぜ?」

そしてぜひ「天国と地獄」も皆さんに見てもらいたいです。昔は雑誌「ぴあ」で名画座を必死で探して(銀座には「並木座」という、邦画専門のいい名画座がありました…)、ごくわずかなリバイバル上映の機会を待つしかなかったのですが、今ではAmazon Prime Videoなどで、レンタルビデオ屋さんにすら出かけることなく、いつでも自宅で気軽に観られるようになりました。本当にいい時代になったものです。

また、映画好きの私が、その他の「目の印象的な」お勧め映画を、こちらの動画で紹介していますので、気になる映画があればぜひご覧になってみてください。

「眼科医が勝手に選ぶ、目(瞳)が印象的な映画 BEST3」