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院長ブログ

視力5.0って、本当?

昔、テレビに出ていた外国人のタレントさんが「わたし、視力5.0あるよ!」と言っているのを聞いたことがあるかもしれません。それは決まってアフリカの国から来た方であったりします。

通常、視力の検査で使う視力表の一番下は「2.0」です。当院の検査では、「1.5」まですらすら見えてしまう人に限り「2.0」まで測ることもありますが、そのような方はあまり多くありません。

では、視力「5.0」の測定は可能なのでしょうか?

理論的には、可能です。

「視力」というのは「離れた2つの点を識別する能力」のことです。おなじみのC型指標(専門用語で「ランドルト環」と言います)は、切れ目がわかる=離れた2点が識別できる、と判断します。

「視力1.0」というのは、5m先の1.5mmの切れ目がわかる視力です。つまり検査の時、「1.0」の指標は、切れ目が1.5mm空いているように設定されています。

「視力2.0」の場合は切れ目が半分の0.75mmになっているということです。

それをもとに考えますと、「視力5.0」を測るには、2つの方法が考えられます。

①5m先のC型指標の切れ目を1/5の0.3mmにする(指標を小さくする)

②1.0と同じ指標を、5倍の25m先に設置する(距離を延ばす)

①は今の印刷技術では充分可能でしょう。②は、場所さえあれば簡単にできます。(眼科のスペースでは無理でしょうが)

いずれも実行は可能ですが、実際の現場で2.0以上の視力を測らないのは、私たちの実生活でそれ以上の視力を必要としないので、あまり現実的ではないからだと思います。特殊なケースを除いて、「視力1.2」が見えていれば、生活には問題ありません。

実際にアフリカで2.0以上の視力検査をしているのかはわかりません(どなたか本当のところをご存知の方がいらしたら教えてください)が、タレントさんの「視力5.0」は、未知なる地域から来た人に対する興味をひくための、あくまで話題作りの「ネタ」のように思います。「アフリカ⇒草原と動物⇒狩りをする⇒目がいい」というイメージで、当時の日本人が面白がってくれるということだったのではないかと私個人は推察しています。

もしそうだとしたら、時代を感じますね。今はそういった「ステレオタイプな」考えはNGの時代です。「ガイジン⇒金髪、青い目」「日本人⇒サムライ、ニンジャ」なんて考える人はもうさすがにいないでしょう。

今年はオリンピック、パラリンピックが中止になって、日本で世界の人々が交流する機会が失われてしまいました。来年もどうなるかわかりませんが、もし無事に開催できることになったら、アスリートのパフォーマンスを楽しむと同時に、そのような交流を通じて、お互いを知って分かりあい、世の中の争いがなくなるきっかけになるといいな、と思います。