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院長ブログ

コロナ禍での視覚障害者と盲導犬

最近、街中であまり盲導犬を見かけないなぁと思っていた矢先、6月12日の東京新聞にまさにその話題の記事が掲載されていました。

記事によりますと、

・コロナ禍で、「ソーシャルディスタンスが分かりづらい」「周囲に手引きなどのサポートを頼みにくい」「商品などを触るため周囲の目が気になる」「消毒液などタッチレスの技術に対応しにくい」などの理由から、視覚障害者はより出控えを余儀なくされた

・盲導犬の数は年々減少し、ピーク時の8割ほどになっている

・2009年から2019年の10年間では年平均の減少数が18頭だったのが、この2年間は平均30頭以上減少している

・原因は、利用者の高齢化で、代替の盲導犬を利用しない人が増えている。中途失明者への支援情報の告知不足。同行援護制度や声掛けのサポート、道路の信号表示を伝えるアプリなど、社会の多様化による需要の低下、など

・いまだに店舗などで盲導犬の受け入れ拒否が後をたたない。受け入れ拒否を経験した割合は2017年が59%、2019年が63%との調査結果

・盲導犬育成は1頭500万円ほどかかり、多くを寄付で賄っているが、コロナで募金活動ができなくなった

・盲導犬だけでなく、肢体不自由者の生活をサポートする介助犬、聴覚障害者に音を聞き分けて教え、誘導する聴導犬も減少傾向

とのことでした。コロナ禍で、何かと不自由を強いられた現状が分かります。

盲導犬は、視覚障害者にとっては視覚サポートの役割以上に、大切な大切なパートナーです。我が家でも犬を飼っていますが、ふれあったり傍にいるだけで、気持ちが安らぎ癒してくれます。おそらく利用者にとっての盲導犬も同様であることは想像に難くありません。

その一方で、盲導犬として訓練することを「かわいそう」と感じる方もいるようです。はたから見たらいかにも不自由そうで「鳴かない様に訓練され、つながれたままで、自由に散歩したり排泄したりも出来ないし…」というのがその主張の様ですが、私は少し違うと思います。

今の世の中で犬は自分の思うまま、野犬のように生きていくことはできません。信頼できる人と一緒に生活することで、幸せに生きていけるのだと思います。それが普通の飼い主なのか、より必要とされより信頼してくれる飼い主なのかの違いで、お互いの信頼関係の絆が強く、飼い主から頼りにされる分、盲導犬は幸せなのではないかなと感じます。そして活動期間は2歳から10歳の約8年ほどで、引退すると普通の家庭に引き取られ、普通の飼い犬同様の生活をして天寿を全うします。それほど悪くない人生ならぬ「ワン生」なのではないでしょうか。

かつて人間は馬を乗りこなし、牛にひかせて畑を耕し、伝書鳩を使って通信し…と多くの動物を活用してきました。そこには飼い主と動物のお互いの信頼関係、愛情があったのではないかと想像します。今ではそれが自動車や電車や飛行機に代わり、耕運機やコンバインに代わり、メールやSNSなどのITに代わりました。

同じように、いずれ盲導犬も高性能AIやロボットなどにとって代わられる日が来るのかもしれませんね。

ちなみに当院では入り口に「ほじょ犬Welcome!」のステッカーが貼ってあり、もちろん院内に入っていただくのは大歓迎です。もしその場に居合わせることになった患者様には、ご理解とご協力の程、お願い申し上げます。よい子のみんな、ステッカーはがさないでね!