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院長ブログ

舌下免疫療法を当院で受けていただくにあたって

スギ花粉症に対する舌下免疫療法薬「シダトレン」の平成26年10月8日の発売を控え、いよいよ当院でも治療の受付を10月1日より開始いたします。(追記:現在は錠剤タイプの「シダキュア」に変更になっています)

舌下免疫療法とは(→クリックでリンク)  まずはこちらを参考にお読みください

花粉症に毎年悩まされる多くの方にとって、否が応でも期待が高まる「舌下免疫療法」ですが、この治療を始めて、充分な効果を得られるようになるには、以下のような条件を満たすことと、治療に対する相当な覚悟と根気が必要ですので、予めお知らせいたします。長いですが、とても大切なことなので、治療をご希望の方はどうぞ最後までお読みください。

<治療を受けていただくのに必要な条件>
・間違いなくスギ花粉が原因の花粉症であること:スギ花粉症であるかの確認のために血液検査をいたします。スギ花粉に反応が弱い方や他のアレルギー物質にも反応の強い方は、治療が受けられない場合があります。

・毎日忘れずに、スケジュール通り3年間以上服用する強い意志をお持ちであること:安定した効果が確実に得られるためには、3年以上の服用が推奨されており、花粉が飛んでいない時期も毎日欠かさず服用が必要です。ちなみに海外の論文では1年継続できた人は44%、3年継続できた人は15%と、80%以上の方は途中で中断してしまっているそうです。また、3年以上服用しても、効果がない場合もありますし、うまく効果が得られても、終了した後に効果が弱くなることもあります。

・必ず1か月おきに受診し、その都度必要な量の薬の処方を受けること:内服開始から2年間は1か月おきの受診が必要です。2年間治療を継続された方は、その後は1度の受診で2か月分の薬が処方できるようになります。

・比較的高頻度に、軽度の副作用(口の中やのどがはれたりかゆくなる、耳のかゆみなど)が出ることがあること、ごくまれにアナフィラキシーショックという、重篤な副作用が起きる可能性があることもご了承いただけること:現在のところ日本での治験や、ヨーロッパで同治療を受けられている患者様で、死亡した症例はないと報告されています。初回の服用は当院で行い、万が一アナフィラキシーショックが起きた場合も、隣の内科の先生と連携し適切な対処を行います。特に治療開始後1か月までとスギ花粉飛散期は副作用が出現する頻度が高いため、その期間のご自宅での服用の際は、ご家族など見守ってくださる方のそばで行うのが望ましいとされています。

アナフィラキシーショックとは 別サイトをご参照ください→クリックでリンク

<治療を受けていただけない方>
下記の方は、当院では舌下免疫療法は受けられません

・12歳未満の方、65歳以上の方:現在このように規定されております。将来規制が緩和される可能性もあります。(追記:現在は年齢制限はなくなりました。小さなお子様でも安心して治療を始められます。)                                ・スギ花粉症でも目の症状がない方:当院は眼科ですので、目の症状のない方は治療効果の正確な判定ができませんので、原則としてお断りしております。
・気管支ぜんそく、うつ病、悪性腫瘍(がん)、自己免疫疾患のある方
・妊娠中の方、授乳中の方
・妊娠される可能性のある方(治療途中で妊娠した場合、治療は中断します)
・ステロイド剤を服用されている方、あるいは皮膚の広範囲に塗布されている方
・高血圧や狭心症、心不全に対するお薬(β遮断薬)を服用されている方
いずれも治療効果や安全性、副作用に関連しての規制です。薬に関して不明な方、不安な方は、お薬手帳など服用中の薬の名前がわかるものをご持参いただき、ご相談ください。

<治療の注意点>
・12月中旬から4月いっぱいまで、新規の治療は開始できません:スギ花粉飛散期にはスギ花粉アレルゲン=シダトレンに対する過敏性が高まっている場合が多いため、この期間は開始できないことになっています。
・服用前後2時間は激しい運動、アルコール摂取、入浴は避けてください:血液循環が良くなることによって、副作用が強く出るのを防ぐためです。

<当院での舌下免疫療法の流れについて>
それでは当院で実際に舌下免疫療法を受けていただく際の具体的な受診の流れについてご説明いたします。

①1回目受診:アレルギー症状がスギ花粉症であることを確認いたします。まずは普通にご来院いただき(ご予約は不要ですが、午前は11時30分、午後は6時までの受付です)、受付で舌下免疫療法をご希望される旨をお申し出ください。当日は問診と診察、アレルギー診断の血液検査をいたします。指先から少量の血液を採取し、30分ほどで結果が出ます。過去に同様の検査を受けたことのある方でも、確認のために必ず行います。スギ花粉症であることを確認できましたら、次回の受診の予約をお取りいたします。

②2回目受診:予約をお取りになった日時にご来院ください。実際の治療についての詳しい説明動画をご覧いただき、ご理解いただけたことを確認した上で、治療の同意書にご署名いただきます。治療薬「シダキュア」の処方箋をお渡しいたしますので、近隣の薬局でお受け取りになられたら、再度クリニックへお戻りください。診察室で実際に薬剤を滴下したあと、副作用が出ないか30分ほどクリニックの待合室で経過を観察いたします。特に目立った副作用が出なければご帰宅いただき、翌日からはご自宅でスケジュール通りに服用していただきます。

③3回目受診以降:シダキュアは1回目の処方は7日分、2回目は強い薬に変えて2週間分お出ししますので、その都度ご受診いただき、経過を確認いたします。3回目受診以降は、1か月おきに受診していただき、予定通り服用できているか、副作用の出現がないかを確認した上で、次の1か月分のお薬を処方いたします。服用開始2年継続できた方は、その後は2か月分のお薬を処方いたしますので、受診も2か月おきになります。

以上が当院の診療の流れです。今後、条件や診療の流れが変わる場合もございます。最新の情報については、随時当ブログにアップしていきますので、下記もお読みください。

<追記>
私自身も服用を開始しました。治療を開始して1か月余りの体験記と、実際に治療を受けておられる患者様のご様子をまとめましたので、こちらもご参照ください →「舌下免疫療法 体験記1」(クリックでリンク)

その後、継続的に体験記をブログにアップしております→舌下免疫療法関連の記事一覧はこちら(クリックでリンク)