現在、私たちクリニックスタッフが取り組んでいることがあります。それは「自己開示」。
名前や肩書などの「自己紹介」ではなく、通常のお付き合いでは知り得ないようなことを「開示」して、もっと自分のことを知ってもらうための試みです。自分のことを知ってもらうことで、親しみをもってもらう、そしてそれがきっかけで仲良くなれれば目的達成です。それはスタッフ同士だったり、スタッフと院長だったり、またはスタッフと患者様だったり、はたまた院長と患者様だったり、院内のあらゆる人間関係にあてはまります。
これを始めたのは、私の読んだある本がきっかけでした。コロナ禍で大変苦しい飲食業界、そんな中でも活気のあるお店の取り組みを紹介していて、ある喫茶店が「名前を書かない名札」を活用しているという事例でした。
その名札には「鶴は千年、亀は万年、私はバーテンダー歴30年」「昔、雅楽やっていました」などという個人情報から「お盆は休まず営業しています」「朝カレー、しませんか?」などのお店に関すること、そして一番ウケたのは「今、洗濯機壊れてます」というリアルタイムの情報で、それらをきっかけにお客さんがスタッフとの会話が弾み、そのお店のファンになり、リピートして来店するようになったとのことでした。
私たちの日々の業務では、忙しさにかまけてどうしてもコミュニケーションが事務的になりがちです。患者様からも、なかなか私たちに話しかけづらかったり、困っていることを相談しづらかったりするかもしれません。その壁をできるだけ取り払うことができれば…との思いからの試みです。
さすがに私たちが「名前を書かない名札」ではいけませんので(名前も知っていただきたい情報の一つです)、これまで使っている名前の書いた名札に、自分の追加情報を付箋のように貼ってみました。
例えば「クワガタ2匹飼っています」「愛読書はスラムダンク」「がんばれ、大谷翔平!」などなど…。私が感心したのは、「雨の日が好きです」というつぶやきで、意外にも(失礼!)ロマンチストさんで、センスあるなぁと思いました。どれが誰かは、来院された際に是非ご自分の目で確かめてみてください。そして気になる名札が目に着いたら、どうぞ遠慮なく、話しかけてください。また随時名札の情報は更新されますので、お見逃しなく!
クリニックに来院されるときは、皆様健康に関するお悩みを抱えている時。不安で、味気なく、時には殺伐とするクリニック受診ですが、そこに少しでも心のうるおいや明るさをご提供できれば、と思っております。
<参考文献> 「顧客消滅」時代のマーケティング 著者:小阪裕司 PHPビジネス新書