ある日、クリニックの受付に患者様から問い合わせの電話がかかってきました。
若い男性からで、何でも、今大阪に住んでいるが、当院での治療を受けたいとのこと。私が電話を換わって事情を伺ってみると、大阪では数件の眼科に受診し治療を受けたが良くならず、YouTubeで色々探したら当院の公式チャンネルの動画を見つけ、ぜひここに出ている治療を受けたいとのことでした。
その動画がこちら「目のふちの白いぶつぶつって何?(マイボーム腺)」(クリックで再生)
「マイボーム腺梗塞」は、さほど珍しい病気ではありません。当院でも月に1~2人はこの症状で来院される方がおられます。治療自体も特別な器具や機械を使うわけではありませんので、大阪でも同じ治療を受けられるのではないか、とお話ししたのですが、これまでどこの眼科でも良くならなかったので、新幹線に乗ってでも当院に受診したいとのこと。そこまで困っておられるのであればお断りする理由もありませんので、翌日の来院時に対応することをお約束し、果たして本当に来院されるのか半信半疑のまま電話を切りました。
そしてその翌日の午後、彼は本当にやってきました。驚いたのは、年齢がまだ18歳だったことでした。自分で電話して自分で新幹線に乗って、コロナ禍のなか土地勘のない場所にあるクリニックまで一人で治療を受けに行く…自分が18歳の頃のことを思うと、すごい行動力です。
実際に診察してみると、確かにマイボーム腺の出口が小さな脂の塊で詰まって「マイボーム腺梗塞」を起こしていました。詰まった出口だけでなく、そこにつながる管にも脂が溜まっておりましたので、まずは極細の針先で出口を切開し脂の塊を摘出し、次に管に沿って縦に切開し溜まった脂も排出して、処置を終えました。
出血もほとんどなく、軟膏をつけただけで眼帯もしないで、彼は礼を言うと帰宅の途に就きました。”わざわざ大阪から来てくれて、礼を言いたいのはこちらの方だけど…” ”新幹線代、高かっただろうに…” ”私の治療で、満足してくれただろうか…” 普段の患者様とはまた別の感慨深いお見送りでした。
後日、経過確認のためご本人の携帯に連絡してみたところ、幸い「今までより良くなった」とのこと。「すっかり」とか「完璧に」という言葉が聞かれなかったのは少し気になりましたが、ひとまずお役目を果たせたことに安堵いたしました。
これまでは「(新聞や雑誌の)記事を見て」「(テレビやラジオで)お話しを聞いて」「バスの放送で聞いて」来院される患者様はいらっしゃいましたが、「YouTubeを見て」来院される患者様が増えてきているのは、時代を感じます。同時に、日々の配信が少しでも皆様のお役にたてていることに、「今後も頑張らねば」と身が引き締まります。
今後とも「片桐眼科クリニック公式YouTubeチャンネル」をよろしくお願いいたします。そして気に入ってくださったら「チャンネル登録」もぜひどうぞ!