電話をかける

045-392-5263

東戸塚 眼科 片桐眼科クリニック|東戸塚駅 西口より徒歩1分 モレラ東戸塚3階

TEL.045-392-5263

院長ブログ

さらば カリーユニ、ティアバランス

皆さんは、「ジェネリック医薬品」ってご存知ですか?

最近はジェネリック医薬品メーカーのテレビCMなども流れていますね。「後発医薬品」ともいい、簡単に言うと、特許が切れた新薬と同じ有効成分で、値段が安く、効果も同等であると厚労省に認められたお薬です。

厚労省や財務省からすると、年々高騰している日本の医療費を下げるために必要不可欠なもので、その普及に躍起になっています。

新薬を開発するには数百億円ものコストがかかりますが、ジェネリック医薬品は開発費が数億円で抑えられます。そのため、新薬よりも安い値段で提供できるわけです。患者様にとっては、特に長期に使うお薬の費用負担を減らせるという大きなメリットがあります。

ただし医師の立場から言うと、新薬とジェネリック医薬品の効果は、正確には「全く同じ」とは限りません。眼科でいえば、例えば緑内障の目薬は眼圧を下げる効果がありますが、新薬とジェネリックとで、眼圧を下げる効果が全く同等というには疑問に思われる製品があります。有効成分が全く同じでも、基剤や添加物(防腐剤など)の違いからくるものと思われます。そのため、処方箋を発行するときに「この薬だけはジェネリックにしないでください」と表記して処方するお薬もいくつかあります。目薬だけでなく、飲み薬でも同様のことがあると内科の先生が指摘しています。

また人気のある(数多く使われている)新薬の場合、特許が切れると同時に20社以上の後発医薬品が同時発売されて、パイの食い合いをしています。そのあおりで、新薬の開発メーカーも膨大な開発費が回収しにくくなるという、製薬メーカーにとって誰もが得をしない状況に陥っています。

最近、そのジェネリック医薬品にも変化がありました。名前を統一するよう厚労省からお達しがあったのです。今後は、新薬とジェネリック医薬品を差別化するために、ジェネリック医薬品の名前は「一般名称+剤型、含量+メーカー名」に統一されました。お達しの前から販売されているジェネリック医薬品にはメーカーが自由に名前を付けられましたが、お達しにより変更を余儀なくされました。

その影響で、眼科でおなじみのお薬の名前も、この10月から全面的に変更になりました。それが、「カリーユニ」と「ティアバランス」。

「カリーユニ」はもともと白内障の進行予防薬の「カタリン」のジェネリック薬品として発売されました。錠剤を溶かさなければ使えなかった「カタリン」ですが、「カリーユニ」は溶解不要のお薬としての有用性が認められ、新薬より薬価が高いという、珍しいジェネリック薬品です。「カリー」と短縮形で呼んだり「カリニュー」と間違えて覚えられたりしていましたが、白内障の患者様に今でも長く愛用されています。今回から”ピレノキシン懸濁性点眼液0.005%「参天」”という、覚えにくい?名前に変更になりました。

「ティアバランス」は、ドライアイのお薬「ヒアレイン」のジェネリック薬品として発売されました。薄い黄緑色の点眼瓶は人気があり「ヒアレイン」ではなく「ティアバランス」ご指名の患者様も多くいらっしゃいました。今回から”ヒアルロン酸Na点眼液0.1%「センジュ」”という名前に変わりました。

どちらのお薬も、名前が変わっただけで、中身は全く同じですので、今まで使われていた方も新しい名前のお薬を安心してお使いください。私としては、お馴染みのお薬の名前が消えるのは、長らく親しまれた車種が消える(例えば「ブルーバード」や「スターレット」など)のと同じような寂しさを感じます。

そして何よりも名称変更により薬剤メーカーは点眼瓶の刷新のためにまた余計な費用負担を強いられ、ジェネリックによって唯でさえ競争力が弱体化しているところにさらに追い打ちをかけられる形になり、医療行政としてそれって本当に業界のことを考えているのかなぁ、と疑問に感じる出来事でした。