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院長ブログ

パラリンピックと障害者差別

北京の冬季オリンピック・パラリンピックが始まりました。

私は学生時代、競技スキー部(へなちょこでしたが…)でしたので、スラローム(回転)、ジャイアントスラローム(大回転)、ダウンヒル(滑降)などのアルペン競技には大いに注目しています。

パラリンピックでも、アルペンは座位の部などは日本人が強く、よく中継されています。実は「視覚障害者の部」もあって、伴走者と一緒に相当な(おそらく私の現役時代よりもずっと速く)滑る競技があることを今回初めて知り、驚きました。(→動画にリンクします)

レースを無事に終え、ガッツポーズしたり、パートナーとハグしたりしている様子を見ると、経験した者でないと分からないゴールした時の高揚感を思い出し、こちらもワクワクしてきます。

調べてみたのですが、今回の北京パラリンピックアルペンの視覚障害の部で日本人の代表はネットで検索しても見つけられませんでしたが、日本でも「ブラインドスキー」を普及させようという取り組みはあるようです。(→動画にリンクします)しかもクリニックのある神奈川県ではありませんか!今はコロナの関係でツアーなどが中止になっているようですが、とても気になります。(かながわブラインドスキークラブのホームページへ)

さて、少し前の新聞記事で、気になるものを見つけました。それは、視覚障害者に対する根強い差別の現実です。

パラアスリートであるブラインドサッカーの元日本代表の男性が結婚され、都内で新婚生活をスタートさせようとして、新居の部屋探しで見つけた物件に申し込もうとして、断られたそうです。

共働きで家賃の支払い能力は問題なし。理由は「オーナーが視覚障害を懸念している」と、仲介の不動産会社で言われたそうです。火災の心配?部屋が汚くなる?具体的な説明がないまま、その男性は入居を諦めたそうです。

記事によると、国交省の調査では「障害者の入居に拒否感がある」と答えたオーナーは約75%、実際に「入居不可」とするのは約10%に上るそうです。

これは、自立した障害者の生活を知らない偏見、先入観に他なりません。実際に障害者が入居することで、火災の発生率が上がるというデータはありません。障害者の他にも、高齢者、外国人、ひとり親世帯、LGBTなどの人も、その対象になるとのこと。

私が残念に思ったのは、「無知」ゆえに、「差別している」ことについて本人に自覚が無く、決して「悪気はない」ことが多いことです。それはお互いに「理解する」機会が少ないことが原因なのではないでしょうか…。

思えば、私がパラリンピックのアルペン視覚障害の部に「驚いた」のも、「目が不自由な人が、猛スピードでスキーを滑れるわけがない」という「先入観」だったのだと思います。それもある意味「差別」なのですね。自分の視野の狭さに反省です。

それを考えると、昨年の「東京オリンピック・パラリンピック」は、大きなチャンスでした。コロナウイルスの蔓延がなければ、多くのボランティアがパラリンピックに参加したり観客として観戦することで、「自立した障害者」は何ができるのか、逆に何に困っているのかを理解できたのではないかと思います。実は私も、ぜひわが子をボランティアとして参加させたいと思っていましたが、残念ながら叶いませんでした。

北京パラリンピックの中継では、競技だけでなくそういった相互理解の手助けになるような説明などの工夫があるといいな、と思います。そして日本人が出場しなくても、アルペン視覚障害の部の中継もあるとうれしいです。きっとすごい迫力とスリルですよ。

今は「SDGs」が世の中に浸透してきて、若い世代を中心にだいぶ理解が広まってきました。これからは誰もが他者を尊重し、多様な価値観を認め合う、そんな世の中になってほしいものです。