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院長ブログ

恥ずかしくないこと

先日、ある人から「片桐さんの大切にしている”価値観”は何ですか?」と聞かれました。なかなか難しい質問です。

私はしばらく考えてからこう答えました。「”恥ずかしくないこと”です。」

「価値観」って、その人が何かを判断する時に働くものだと思うのです。「あの人とは価値観が合う」という場合、倫理観、正義感から物やお金に対する感覚まで、幅広いです。育ってきた環境にも左右されますね。

具体的に”恥ずかしくないこと”とはどういうことか。例えば、電車に乗って座席に座ってしばらくすると、次の駅で乗ってきたご高齢のご婦人が自分の前に立ったとします。さあ、2択です。①今日は疲れているので座っていたいから、タヌキ寝入りをする ②気持ちよく席を譲る

私の大切にしている価値観は”恥ずかしくないこと”です。①の気持ちは痛いほどよくわかります(私も譲られてもおかしくない年齢になりつつありますので)が、でもやっぱり私にとっては”恥ずかしいこと”なので、②を選びます。なにもカッコつけてるわけではありません。何より自分が”恥ずかしい”と思うことをしたくないだけなのです。

それは、日常でも、日々の診療でも、家庭でのふるまいでも大切にしていきたいと思っています。人として恥ずかしくないこと、大人として恥ずかしくないこと、医師として恥ずかしくないこと、夫として恥ずかしくないこと、父として恥ずかしくないこと…

実はこの”恥ずかしくないこと”というのは、受け売りです。ある日通勤途中の車で聴いていたFM番組に出演していた反骨のジャーナリスト(=世の中のおかしいことに対して、ちゃんと「おかしい」と声を上げられる、今や数少ないまともな人)がインタビューでちょっと意地悪に「そんな記事を書いても世の中は変わらないのに、どうして書き続けるんですか?」と聞かれ「恥ずかしくないことをしているだけですよ」と答えたのを聞いて、私も心から大いに賛同したのでした。その後で先ほどの質問を受け、パッと頭にひらめいたのがこの”恥ずかしくないこと”だったのです。

今や世の中、「恥ずかしくないのか!」と思うことだらけです。

責任を取らない政治家。言いなりの官僚。批判しないマスコミ。環境破壊を顧みない企業。少女に過剰な責任を負わせるオリンピック。戦争に突っ走る大統領…。

そして本当に残念なことですが、同じ眼科医として、この診断、治療は…と思うことが時々あります。そんな時こそ当院でしっかりと検査、診察の上、理に適った治療をご提案するようにしています。

一方、この手紙は、我が家で利用している食品の宅配業者の社長さんからのお詫びの手紙です。おそらくご本人の手書きで(もちろん印刷ではありますが)、非常に誠実に宅配の遅延についてのお詫びと対処が書かれていて、社長さんのお人柄と責任感が感じられ、私にはとても好感がもてました。図らずも”恥ずかしいこと”をしてしまったときの見本として、参考にしたいと思いました。

話は脱線しますが、一部の女性が電車の車内などの人前で行うフルメイク(!)についても、私はいまだに”恥ずかしいこと”と思っていて、運悪く立ち会うことになるといつも心から残念に感じます。今や私も古い人間の部類なのでしょう…(コロナで電車に乗る機会が減って、立ち会うことも少なくなりましたが)。みなさんはどうですか?

ふとした質問から気付かされた自分の大切にする価値観 ”恥ずかしくないこと”。これからも何か人生の選択を迫られたときに限らず、常に「お前はそれで恥ずかしくないのか?」と自分で自分に問いかけながら、道を踏み外さないように生きていきたいと思います。