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院長ブログ

死に際、そして死に方

話題の映画、「急に具合が悪くなる」を観に行きました。

介護と経営、障害児ケア、看取り、末期がん、資本主義の問題点など、3時間以上の上映時間にテーマが盛りだくさん…素晴らしい演技の主演女優2人がカンヌ国際映画祭で女優賞を受賞(ひとりは日本人として初受賞の岡本多緒さん)し、さらにはアカデミー国際長編映画賞の日本代表作品に選出され、より一層注目が集まっています。舞台は主にフランス、パリですが、どこの国でもこれからやってくる高齢化社会における問題点は共通なのだと感じました。そして自分もやがてくる「高齢者」に備えておかなければ…。

以前のブログで私は「終活始めました」宣言をいたしました。

→「終活」https://www.k-eye.jp/blogs/2025/05/28/post-1745/

しておくべきことはたくさんあるのですが、そのうちの一つが「死に際」「死に方」の希望を信頼できる人に告知・宣言しておくことです。

主に次の4つ。①余命告知をしてほしいか? ②延命治療をしてほしいか? ③どこで最期を迎えたいか? ④臓器を提供したいか?

そこで、信頼する(親愛なる)このブログの読者の皆様に、私の「死に際・死に方」の希望を告知・宣言したいと思います。

①余命告知をしてほしいか?

して欲しいです。なぜなら、何も知らないままだと、死ぬ間際に「愚か者めが…お前の命はもう終わりじゃ!何か言い残すことはないか?おっと時間だ、もうお終いだよ、ヒヒヒ」と悪魔にささやかれ、悔しい思いをしそうな気がするからです。

②延命治療をしてほしいか?

御免こうむります。数年前、近しい人の死を目の当たりにしました。90歳を過ぎ、年齢相応に衰えていき、そして寝たきりになり、食べ物も自発的には口にしなくなりました。家族が望んだのは、出来る限りの延命でした。チューブや点滴が繋がれ、強制的に水分、栄養が供給されました。人相や下腿が、やせ衰えた老人から、無理に膨らませた風船のように変貌しました。痰を吸引されるたびに、苦しそうに咳き込みます。幸せそうにも、安らかにも見えませんでした。いよいよ消化器官も受け付けなくなり、医師から「中心静脈栄養(血管に直接栄養を送り込む)」に切り替える提案があり、家族もそれを望みました。それをまるで本人の意志で拒否するかのように、その夜、静かに息を引き取りました…とても安らかな顔をしていました…。

③どこで最期を迎えたいか?

あるスペインの村を訪れた私の友人から聞いた話です。その村の小高い丘からは、毎日夕日がきれいに見えるのだそうです。ある日そこに、寝たきりであろうと思われる老人が、家族に付き添われてキャスター付きのベッドで現れ、美しい夕日を眺めていたそうです。1日の終わりの夕日を眺めながら、自分の人生にも幕を下ろす…その話を聞いて以来、私の夢であり無理めの希望です。場所は丘でなくても、自宅のベランダでも、海岸でも、病院やビルや施設の屋上でも構いません。

④臓器提供したいか?

これまで、数多くの患者様が、提供された臓器によって病状が健康かそれに近い状態に回復されているのを目の当たりにしています。私の専門でいえば「角膜ドナー」。まだまだ足りずに移植を待ち望んでいる方はたくさんおられます。私の体がお役に立って、その方の一助になるならそれほど幸せな死に方はありません。使えるものなら、心臓、肺、肝臓、腎臓、膵臓、小腸だって(すべて運転免許証の裏に意思表示してあります!)、喜んで提供します。

このような話題は、関わる人ひとり1人の価値観が違うため、事前に意思表示をしっかり伝えておかないと、諍いのもとになりかねません。このブログを読んだ人が私の今わの際にいるとは限りませんが、多くの方に読んで、知ってもらえたらと思い、今回書いてみました。ただし、これはあくまで私の価値観で、遺族感情なども複雑なのは理解できますし、私とは意見の異なる方の価値観を否定するものでは決してないことをご承知おきいただけましたら幸いです。