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院長ブログ

眼科とAI

みなさん、AI(artificial intelligence:人工知能)、使っていますか?

今では、あらゆる場面でAIに遭遇します。特に生活になじみが深いのは、スマホです。電車の乗り換えを調べるのもAIでしょうし、音声認識による自動文字変換や外国語の自動翻訳もそうですね。お持ちの方は、スマートスピーカーへ話しかけて音楽がかかったり照明やエアコンがついたりと、便利な機能の恩恵を受けることも多いのではないでしょうか?

私はAIを、データをもとに学習し、正しいか正しくないかは別として「人間の指令のもとに」判断する機能、と解釈しています。そのもとになるデータを、人間とは比べ物にならないくらい短い時間で分析し、それが膨大であればあるほど判断はより人間の「指令の目的」に近づく、と考えています。

ところが、2045年には「AIの性能が人類の知能を上回る」時が来るといわれていて、それの時点のことを「シンギュラリティ」というそうです。

チェスのチャンピオンや囲碁の名人がAIに負け越したニュースは世界に衝撃を与えました。

ちょっと古い話になりますが、1968年の映画「2001年宇宙の旅」には、宇宙船を制御していたコンピューター「HAL」が暴走し、乗組員たちを殺害しようとしますが、それに気づいた一人の乗組員がそれを阻止する、という、当時衝撃的だったエピソードがあります。この「HAL」というネーミングは、アメリカの巨大IT企業「IBM」をもじって、より先を行くという意味でそれぞれのアルファベットを一文字ずつ前にずらしているそうなのですが、今考えると「HAL」はまさに「AI」そのもの。私の生まれた年(1967年)と変わらない時代に、こんな映画があったなんて、原作者のアーサー・C・クラークと監督のスタンリー・キューブリックの先見の明に今更ながら驚嘆します。(それが2001年ではありませんでしたが)

そんな例を出さなくとも、「ロボットが暴走して人間を襲う」映画は枚挙にいとまがありません。そんなこともあって、「ロボット=AI」→「AI=何となくこわい」という印象をお持ちの方もおられるのではないでしょうか?

「シンギュラリティ」はあくまで予想ですので、私はAIはあくまで人間が使いこなすツールとして、今後も人間の管理下におかれていくものだと思っています。でもそのためには、使いこなす私たちも賢くなければいけません。

例えば「乗換案内」も、同じ路線で同じ時間で調べてもいくつもの方法が出てきます。あるいはアプリによって違う経路が出てくることもあります。それを選んで、最終的にどれが一番自分に便利か、判断するのは使っている私たちです。「与えられたものを鵜呑みにしない」という意識も大切です。

実はAIの活用は、眼科領域でも始まっています。

健康診断や人間ドックで撮影する眼底(網膜)の写真をAIが分析し、病気かどうかを判定するシステムが、2018年にアメリカのFDA(日本の厚労省にあたる組織)に承認されました。

この作業を「眼底読影」というのですが、これまでは若いDr.や、隠居された先生方のアルバイトでした。 検診センターから送られてきた写真(私がやっていた当時はポラロイドでした!今はデジタルデータでしょう)を一枚一枚確認して、病気の有無を見極めます。一度に100枚以上見ることもあり大変でしたが、好きな時間にでき、1枚○○円の出来高制だったので、給料の安い研修医にはありがたいアルバイトでした。

それがかなり高い精度で自動で読み取られ、そして時間も人件費もかからないとなると、経営者?となった今の私の立場で考えると、大変素晴らしいことだと思います。

よく「AIで仕事がなくなる」と心配する向きもありますが、むしろ「自分でなくてもできること」をAIに任せて、「自分にしかできない他のことに注力する」ことが大切だと思います。

今後は、緑内障の診断への応用も検討されているそうです。AI、人類の明るい未来のために賢く使いこなしましょう。