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院長ブログ

「忘れる」ということ2

先日、もの忘れについてのブログ「忘れる」ということ” (→クリックでリンク)をアップしましたところ、主に同年代の人から反響をいただきました。そのほとんどが「俺も…」「私も…」というもので、それらの人たちをほんのわずかですが、勇気づけるのに役立ったようです。

その後、さらに強い味方を見つけました。人工知能研究者の黒川伊保子さんです。「妻のトリセツ」「夫のトリセツ」などの著書がベストセラーになっていますので、ご存知の方も多いと思います。

彼女の著書「成熟脳ー脳の本番は56歳から始まる」を読みました。なぜなら私自身が今年55歳になるので、タイトルに引かれ、「脳の本番」に大変興味をそそられたからです。

彼女は著書の中で「もの忘れは、老化ではなく、進化である」と主張しています。

28歳から56歳の間は、それまで培った脳の膨大な回路の中から、いらない回路をより分け、必要な回路を知る時期。そしていらない回路を見極めるために必要なエクササイズが「失敗すること」なのだそうです。失敗して痛い思いをすることで、回路を修正する。つまり失敗の数だけ、人は失敗しにくく、判断に迷わなくなるそうです。因みに、28とか56とか、7の倍数なのは理由があって、7年を人生の周期に適応する彼女独自の試みだそうです。

回路を修正して、いらないところに信号がいかなくなるのだから、当然もの忘れは起こる。むしろ喜ぶべき進化だというのです。例えば、テレビに出ている俳優さんの名前が出てこなくても、生きることに支障はないと脳が踏んだだけと。

つまり、長く生きて、たくさん泣いて、転んで傷ついて立ち上がることを繰り返す56歳頃には、脳が充分に「失敗しにくく、成功しやすい」状態になるのですね。それが「成熟脳」だと。

フムフム、脳生理学的に証明されている訳ではないようですが、なんだか前向きになりますね。「〇日前の食事のメニュー」なんて思い出せなくても、脳が自主的に捨てた情報なんだから、思い出せなくて当たり前なんですね(笑)。なんだか勇気をもらいました。

老いを意識するこの年代。でもやっぱり年齢は単なる数字、「Age is just a number!(→過去のブログにリンク)」です。