先日、科学的根拠がないのに美容液でまつげが伸びるかのような表示をしたのは景品表示法違反に当たるとして、消費者庁が大阪の化粧品会社に対し、再発防止を命じた、との報道がありました。まつげ美容液を巡る措置命令は初めてとのことです。
報道によると、商品名は「エターナルアイラッシュ」で、ウェブサイトに「2週間でまつげが伸びる」「伸びすぎてまつげにいろいろのせるひとも!」などと著しい育毛効果が得られるかのように表示されていたため、消費者庁が裏付けとなる資料を求めたところ、販売会社は「実証試験は行っておらず、科学的根拠はない」と認めたとのことです。
長い睫毛は、男性にとってふさふさの髪の毛がそうであるように、特に女性にとっては永遠の課題(あこがれ)のようですね。また、病気の治療などでまつげが抜けてしまう場合もあり、その方にとっては大変深刻な問題です。言わずもがなですが、マスカラ、付けまつげ、エクステと、睫毛を長く見せるよう工夫するための商品は枚挙にいとまがありません。でもそれらは、付けたりはずしたりと、それなりに煩わしいですので、地毛?がしっかり生えて長くなるのが一番良いと考えるのは、男性のわたしでも想像に難くありません。そのため、「まつげ美容液」なるものも数限りなく世の中に出回っているのでしょう。そしてその中には、本当に効果があるのか怪しいものがまぎれるのも世の常です。中にはつけたらまぶたが腫れてしまったと、当院を受診するケースも散見されます。
実は当院でも「まつげ伸長液」を取り扱っています。「ビマトプロスト」といい、元々は、緑内障治療の目薬(商品名「ルミガン」)で、プロスタグランジン製剤のひとつです。(「プロスタグランジン製剤」については、こちらの動画(⇒クリックでリンク)をご覧ください)
このプロスタグランジン製剤で緑内障を治療している患者様の中に、徐々に睫毛が長くなってくる症状(副作用)が出ることが知られていて、特に片目だけこの目薬を使っていると、明らかに左右のまつげの長さが違ってくることがあります。その副作用を逆に利用して、まつげを伸長することを狙っている訳です。製薬メーカーも副作用としてはっきりとうたっていますので、この薬に関しては科学的根拠は「あり」です。
ただし、注意点もあります。
①ある程度長期に使わなければわからない:最低でも3か月以上使わないと、目に見えるほどの効果は出てきません。私は効果が確認できるまで6カ月は使った方が良いと思います。緑内障治療中の患者様では、使い始めて2年以上たってまつげが伸びてくる方もいます。
②誰にでも効くわけではない:緑内障治療を5年以上など長期にしている患者様で、この薬を使っている方でも、まつげが伸びてこない人もいます。副作用が出やすい人とそうでない人がいますので、おそらくまつげも、伸びやすい人とそうでない人がいると思います。
③別の副作用が出ることもまれにある:プロスタグランジン製剤の他の副作用として、まつげが伸びる以外にも「まぶたの黒ずみ(色素沈着)」と「上まぶたの落ちくぼみ」があります。これらは治療で目薬として使っている場合に起こります。「まつげ美容液」として使う場合は、「綿棒で液をまつげの生え際に塗る」ため、目薬として使うよりまぶたに触れる範囲は限定的ですので、それら2つの副作用は目薬として使うよりは出る可能性は少ないと思いますが、全く出ないという保証はありません。それらの症状に気づいたら、使用を中止すれば元に戻ります。
私としては、まつげでお悩みの方が、科学的根拠のない商品に高額な費用を支払って後悔するよりも、少なくとも科学的根拠があり、効果が期待できるこの製品を、比較的手軽な値段で提供することが、「愛をこめて、あなたのeyeを守ります」を理念としている当院の使命だと感じています。ご興味がおありでしたら、どうぞ受付でお気軽にお声がけください。受診なしでも購入可能です。