最近、DXという言葉をよく聞きます。
DX=Digital Transformation(デジタル変革:なぜDTでなくDXなのかというと、英語圏ではTransをXと略す習慣なのだそうです)を生成AIで調べてみると「企業や組織がデジタル技術を活用して業務の効率化や新たな価値の創出を図るプロセスを指します。単にITシステムを導入することだけでなく、ビジネスモデルや業務プロセス、企業文化、組織構造にまで変革を及ぼすことを含みます。」と出ます。
それと似たような言葉が「IT化」です。IT=Information Technologyの略で、「旧来のアナログな作業をデジタル化して便利にする」という意味合いでIT化という言葉が使われるようになりました。
DXが社会や組織・ビジネスの仕組みそのものを変革することなのに対し、IT化は既存の業務プロセスのまま業務効率化と生産性向上を図るという限定的な言葉なのだそうです。
当院が開院した15年前(2009年)は、まだ「DX」や「IT化」などという単語も聞かなかった時代。携帯もガラケー半分、スマホ半分(しかもまだ性能が良くない)といった感じで、検索やホームページ閲覧などは主にパソコンで見る時代でした。
実は当院ではいち早く未来を見据え、デジタル導入には比較的早く取り組んできました。
開院時に導入したカルテは紙でなくパソコンに保存できる電子カルテの最新版。待合や携帯で確認できる待ち人数表示、オンライン予約、SNSや動画での配信、自動精算機、マイナカード対応…などなど。今ではどれも当たり前ですね。
現在院内には18台ものパソコンがあり、毎朝それらをすべて立ち上げるだけでも15分くらいかかります。
このように、デジタル機器に頼りきりの現場ですから、弱点も露呈します。ある日、普通に使えていた院内のインターネットが突然つながらなくなりました。順番表示もオンライン予約の確認もマイナカードも使えません。私もスタッフも「デジタル音痴」ばかりで、原因もさっぱりわかりません。
そこで、私が一か八かで、インターネットの大もとの機械(ルーターというそうです)の電源を一旦抜いて、再び差してみました。すると…すべてつながるようになったのです!「こんなことで!?」と驚くやら、あきれるやら、そして安心するやらでした。
確かにデジタル技術は便利ですが、新聞は紙で、カメラはフィルムで、音楽はカセットテープやレコードで育ってきたアナログな私は、実はちょっと苦手としています。
例えば、LINEは「伝える道具」として大変有効ですが、即レスしなきゃとか、既読スルーされた、など、なんだか気を使います。その他にもメール、口コミ、ネットニュースなど、見る必要のないものまで、暴力的に毎日目に飛び込んできます。時間を浪費し、心が疲弊します。
そこで今回(先月)の夏休み中は「デジタル・デトックスしよう!」と決心しました。
デトックス=毒抜きです。つまりデジタル・デトックスとは、スマホやパソコンなどのデジタル機器を意図的に使わないよう心がけて、心身のストレスや疲労を軽減・回復する習慣のことです。
休み中はスマホやパソコンを開く時間を最小限にとどめ、読みたかった本を何冊も読み(マンガも含む)、観たかった映画を何本も観て(映画館でも我が家でDVDも)、昼寝をしつつ合間には高校野球を観戦する、という夢のような?生活を過ごしてみました。
昔よく通っていた池袋の名画座「文芸坐」が、同じ場所にリニューアルし「新・文芸坐」になってから初めて訪れてみました。昔のように名画からマニアックな映画までを上映していたのには嬉しくなってしまいました。私はジャン=リュック・ゴダール監督の「軽蔑」という映画を観てきました(映画マニアかオールドファンにしかわからないと思いますが…)
読もうと思って買っていたのに5年ほど放置されていた「風の谷のナウシカ」の原作マンガを全編読み通してみました。ジブリアニメよりずっと深くて濃い内容で、宮崎駿の漫画家としての凄さを実感しました。
高校野球は、接戦続きで、手に汗握りながら応援しました。番組の宣伝やコマーシャルの時間には、音を消すかテレビ自体も消していました。
おかげで心身ともにリフレッシュ。休み明けには元気になって診療に戻りました。長めのお休みの時は、デジタル・デトックス、お勧めです!
最近、クリニックの下の階にある大戸屋さんは、オーダーの仕方が各テーブルのタブレットだったのが、自分のスマホを使うタイプに変更になりました。つ、使いづらい…
というわけで、当院はバランスよく、「IT化」による「DX」と目指していきたいと思います。
<追伸>お休み明けは、溜まったメールなどの対応に追われ、結局デジタル漬けの毎日に戻ってしまうのでした…